カナダ一治安の悪い交差点にあるフォトスタジオで働く日本人の業務日誌


by canadianman

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134 ヅラ

■ ■ ■
見るからにガーナ人のおばちゃんが来た。
「パスポート写真、ハウマッチ。」
「こうこうこうで、いくらです。」
と説明する。
「OK。じゃあ準備するからちょっと待って。私これ嫌いなの。」
と言ってシャギーのかかったショートのヅラを外し、
買ったばかりのカーリーヘアのヅラを取り出して装着した。
何度見ても目の前でヅラを交換されるとふきそうになる。

■ ■ ■
閉店間際、
こないだスナップを撮影した初老のおっさんが来た。(132参照)
「おお、こないだありがとう。ナイスフォト。ナイスフォト。みんな言ってた。また来る。」
なまりからジャメイカンかな?
ともあれ気に入ってもらえてよかった。
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by canadianman | 2010-06-30 22:07 | 業務日誌

133 一夜明け

■ ■ ■
今日は暑い。
スムージーが飲みたい気分だ。
見習いのシャンティに店をまかせ、
隣の隣にあるベトナミィーズレストラン、フォーコムベトナムへ行く。
3時半と中途半端な時間だったためか、
店内はガラガラだ。
「ハーイ。」
顔なじみのウエイターにあいさつする。
「ハーイ。いつものやつ?」
「ああ。今日は違うんだ。マンゴーバブルティーを2つちょうだい。」
「OK。ちょっと待ってね。」
「ありがとう。」
珍しく店が暇なので世間話が始まった。
「そういえば、君たち惜しかったね~!」
「ああ見た?そうそう、残念だったよ。あとちょいだったんだけどね~。」
「PKは運だよね。日本は誇るべきだよ。すごいよ。前大会では思わなかったけど、今回はほんと他の国に見劣りしてなかったもの。韓国もいいチームだし、これからアジア勢が活躍していきそうだね。」
自分がプレイした訳じゃないのに、
褒められた気分がした。

■ ■ ■
アジア系カナディアンのお姉さんが来た。
「パスポート写真をお願い。」
「OK。じゃあその椅子に座ってください。」
「ハイ、撮るよ。」
とファインダーを覗く。
あれ?
げっそりしてる。
細く見せようと口の中を陰圧にして頬をへこませてる?
バレバレですやん。
とりあえず何枚か撮影したが、
もちろんいんちきなしの写真をプリントした。

■ ■ ■
中国人のおばちゃん達が来た。
中国系ベトナム人で、カントニィーズを話すらしい。
「ヘイ!ハンサムボーイ!私をプリティーに撮ってよ!ぶさいくだったらお金払わないんだからね!」
中国人のおばちゃんは大阪のおばちゃんに雰囲気が似ているような気がする。
おもしろい。
「ハイ、じゃあ誰から撮る?この椅子に座って。」
パシャ
「おー。プリティー!ベリービューティフル。」
おばちゃんのノリに合わせて撮影を進めていった。
「ヘイ、ハンサムボーイ!あんたどこから来たの?」
と聞かれたので、
「ジャパン。」
と答えた。
すると、
「ああ~!私昨日応援してたのよ~!惜しかったわね~。"ガンバルー!ガンバルー!"って応援してたのよ。」
ここでも応援してくれていた人が。
嬉しい。

■ ■ ■
「ヨー!」
フレーム希望のお客さんの対応をしていると、
ルームメイトがやってきた。
「おお!何してんの!ちょっと待って。」
と言ったが、
「ああ、忙しそうだからいいよ。これ、置いとくね。」
と言って帰っていった。
本日2本目のマンゴースムージー・・・
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by canadianman | 2010-06-29 22:38 | 業務日誌

132 セコ

■ ■ ■
ベトナム人女性が来た。
「あなた初めてみるけど、新しい人?私いつもこの店にプリントしに来るんだけど、いい色にしてもらえる?ウォルマートの方が安いけど、あそこでプリントすると写真の色がすごく悪いの。だからちょっと高くてもこの店に来るのよ。分かる?」
クオリティ重視のお客さんはこの店にとって大事な存在だ。
ボスよりいいプリントだと思われるように気合を入れてプリントしなければ。
彼女の写真をプリントしていると、
もうすっかりおなじみになったミシサガの仏像の写真が写っていた。(129参照)
「あ~!これミシサガのブッダ。」
「え?なんで知ってるの?」
「毎日この写真見てるからね~。白い玉でしょ?」
「でも私のは赤い光よ。ほら、こことこことここ。」
よく見ると仏像の周りに赤い光がある。
でもこれはさすがに合成だと分かった。
「まじで~!すごいね~。」
と言っておいたが、
仏像のパワーをめぐってかなりの論議がされているのだろうなと察した。
それにしてもベトナム人はとても信仰心が強いようだ。

■ ■ ■
黒人女性が来た。
アフリカ人のアクセントだが、
ガーナやナイジェリアのアクセントとはどこか違う。
顔つきも違う。
服、鮮やかできれい・・・
コンゴ。
どうでしょう。
「君コンゴ出身?」
「そうよ。」
おおおお!ビンゴ!
「なんで分かったの?」
「すごいでしょ。何となく分かるんだ。」

■ ■ ■
黒人のファミリーが来た。
奥さんはスカーフを巻いているのでイスラムの人だろう。
家族5人でパスポート写真を撮りに来たのだが、
人数が多いからまけろなどとは一言も言わない。
口ひげをたくわえたお父さんはとても紳士的だ。
顔つきからして東アフリカ人っぽい。
しかしソマリア顔ではない・・・
ルワンダ?
それとも新しい国?
「あなたたちどこの国出身?」
お金をもらうときに聞いてみた。
「スダーンだよ。私の国にもチャイニーズの人達がたくさんいるよ。」
おおやはり新しい国!

■ ■ ■
マシュマロマンが来た。(128参照)
今日はものすごい数のプリントをオーダーした。
あとの業務に響きそうだ・・・

■ ■ ■
彼の5x7プリント(日本の2倍の大きさ)350枚が手ごわい。
他のお客さんに来て欲しくないときに限って、
山のようにお客さんが来る。
ひとりマック状態が始まった。
さすがにひとつひとつの作業が早くなったのと、
業務の組み立て方が上手になってきたのとで、
昔よりはさばけるようになったなと感じる。

■ ■ ■
トニニダード人らしき初老のおっさんが来た。
「前にスタジオ写真について尋ねてたものだが。」
「ああ。そうだったね。どうぞ。奥へ行ってください。」
奥に案内する。
すると彼は勝手に店の椅子を真ん中へ持っていって座り、
紙袋に入った衣装を広げた。
「ちょっと来てくれ。」
彼のところへいくと、
パンツが5枚、
シャツが3枚、
靴が3足転がっていた。
「どの組み合わせがいい?」
え~!
「じゃあこのシャツにはこのパンツとこの靴だね。こっちのシャツにはこれ。」
「ありがとう。」
ゆっくりの初老のおじさんの準備ができるまで30分かかった。

■ ■ ■
ベトナム人歌手のお姉さんが来た。(127参照)
「いつもこのお店忙しいわね~。」
彼女が来るときに限っていつも店が忙しい。
「たぶんあなたがお客さんを呼んでるんだよ。」

■ ■ ■
マシュマロマンが戻ってきた。
ちょうど5分前に彼の写真が全部終わったのでほっとした。
「写真できてるか?」
「ああ、そこに積んであるやつ。」
「OK。グッド。」
1枚1枚写真を丁寧に見るマシュマロマン。
今回の写真はいい写真が多い。
「俺、彼知ってるよ。あとこのおばさんも、エイドリアンと嫁、それにこの人も。みんな知ってるわ。あはは。」(080128参照)
「おい!俺がここでプリントしてることを誰にも言うなよ!」
「なんで言っちゃいけないの?」
ちょっとからかってみる。
マシュマロマンが棚にかかっているアルバムを見はじめた。
「おい。このアルバムいくらだ?」
「25ダラー。結婚式用のやつだよ。」
「は~!高い!20ドルだけ払うわ。」
「カモーン!ダメ。」
結局1ドルだけまけて24ダラーにしてあげた。
「おい!値段のシールを貼るマシーン持ってるか?ちょっと出してくれ。」
「いいけど何だよ?」
鏡の横にある棚の中から値段のシールを貼るマシーンを取り出した。
「おい。ここに62ドルって貼ってくれ。」
「高け~!何その値段!」
「別に売るわけじゃないんだ。彼らにプレゼントするんだが、この方がありがたみがあるだろう。」
セコ~!

■ ■ ■
黒人男性が入って来た。
パソコンで座っている自分のところへさっそうと歩きながら、
「おい、お前俺を覚えてるだろうな。この前お前とケンカしてお前のことを、お前のことを・・・」
やべ、
怖い!
恐怖に満ちた顔の日本人のとなりまで歩いて来て、
「お前のことが好きだ~!」
と肩を組んできた。
びっくりした~・・・
「はっはっは~。お前を怖がらせようとしたのさ~。」
前にスタジオ写真を撮ったお客さんだった。
心臓に悪いからやめてくれ~。
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by canadianman | 2010-06-28 22:11 | 業務日誌

131 どんべえデビュー

■ ■ ■
ガーナ人のビクターさんが来てくれた。(098参照)
大好きなビクターさんに今日も会えて嬉しい。
今日は、
「メンソ メダアセ。」
を教えてもらった。
ガーナの言葉、TWI語で「こちらこそありがとう。」の意味だ。

■ ■ ■
カナディアンの女性が来た。
「ハイ。調子はどう?あなたにお願いがあって、多分あなたならできるけど・・・ちょっと待って今見せるわ。簡単な事だけど。・・・あったわ。ほら。この携帯電話を見て。この写真。プリントしたいの。お願い。」
携帯の待ちうけ画面におっさんの写真が写っている。
「ああ。いいけど、メモリーカード入ってる?」
「何それ?そんなものが入ってるの?どこに入ってるの。私分からないからあなたやってちょうだい。」
「どれどれ。」
嫌いなマイクロSDのマークが書いてあるのできっとカードがあるはずだ。
カバーを開けてみる。
残念ながら入っていなかった。
「ああ。残念だけど、カードがないからダメだ。e-mailで画像を送ってくれたらプリントできるよ。」
「じゃあそれやって。どうやってするの?」
自分でしいな。
めんどくさ~。
一応携帯を見てみる。
メールのボタンを押すが、
「インターネットサービスに申し込まれていません。」
の文字。
「ああ。もう方法がないよ。諦めるしかないね。」
「ええ?何か方法ないの?分かった。あなたのカメラでこの携帯の画面の写真を撮ってちょうだい。そうしたらプリントできるでしょ。」
「はあ?無理無理。そんなもん、プリントなんかできるクオリティじゃないよ。」
「大丈夫よ。私の友達がこの携帯の画面を他の携帯で撮影したらすごくクリアだったんだから。大丈夫よ!」
「それは携帯の小さい画面での話でしょう。携帯の画面の解像度が印刷に耐えれるわけないじゃない。しかもそれをカメラで撮るなんて。くだらなすぎる。」
「いいから撮ってみてよ。大丈夫だから。前にやったんだから。」
と言って無理やり撮影させられるハメになった。
めんどくさ~。
パシャ
携帯の画面を写真に撮る。
「見せて見せて。」
モニターに写った写真を拡大する。
「すご~い。クリアーじゃないの。ほら言ったでしょ。友達もやったんだから。」
めんどくさ~。
これで傲慢な態度をとる人ならブチ切れそうだが、
フレンドリーなので悪い対応ができない。
それが逆にやっかいだ。
「まあプリントしたら俺の言った意味が分かるよ。」
と言ってプリントする。
もしかしたら彼女は写真がクリアとかどうのこうのじゃなく、
写真を撮ったよという証拠が欲しいだけなのかもしれない。
ファミコンのスーパーマリオの顔のように角角になった写真ができあがる。
「はい。どうぞ。」
「ほら言ったじゃない。クリ・・・あれ。クリアじゃないじゃない。」
「だから言ったじゃん。」
「ねえこれあなたパソコンでクリアーにできないの?できるでしょう。カモーン。」
「できません。」
「この角ばったのをとるとかできるんじゃないの?フォトショップ持ってるんでしょう?」
「できないって。仮にやるとしたらこれくらいはチャージしないとやらないよ。しかも出来上がったものを見ても絶対に満足できないよ。」
「じゃあどうすればいいの?どうやったらプリントできるの?」
めんどくせ~。
マイクロSDの話からFidoの話からあれこれ説明するはめになった。*カナダの電話会社
めんどくせ~。

■ ■ ■
黒人男性が来た。
素敵なアフリカンアートのシャツを着ている。
「君ガーナ出身?」
と聞くと、
「いやコンゴ・ザイール。」
という答えが帰ってきた。
1ヶ国追加!

■ ■ ■
テカテカのどんべえが来た。(130参照)
「ヘーイ!ワッスアップ!」
バチン!
と握手を交わす。
「ヨーメーン。俺がどうやらインターネットにでているらしいんだ。お前インターネット持ってるだろう?見せてくれや。」
今日は普段着で、
どでーんと妊婦のように出た腹が印象的だ。
「まじで?CP24のサイトかな?」*トロントのTVニュースチャンネル
「今甥っ子に聞いてみるからちょっと待ってくれ。」
とどんべえは甥っ子に電話をかけはじめた。
ガーナの言葉、TWI語で会話している。
なんのことかさっぱりだ。
「おい、インターネットのページのことを甥っ子から聞いてくれ。彼は英語を話すから。」
あんたも話してるじゃんと思いながら電話をかわる。
「もしもし。」
「Jane-Finch.comにいって、Homeへいけばビデオがあるからすぐ分かるはずだ。」
「OK。ありがと。」
まずはJane-Finch.comへいって、
Homeと。
ビデオは・・・
あったあった。
「Jane-Finchマン、ガーナの勝利を祝う。」
わくわくして再生ボタンを押す。
プープップップップー!
車のクラクションをBGMに、
どんべえが道路の真ん中で踊っている。
「ギャーッハッハッハッハ!やめてくれ~やめてくれ~!」
腹がこじれそうだ。
「はっはっはっは~!お前が大爆笑するのは分かってたぜ。ハハハ~。」
信号待ちの車のまん前に立って踊るどんべえ。
車で姿が見えなくなった。
しかし旗の動きで走っているのが分かる。
明らかにガーナ人じゃないおっさんまで旗を降っている。
やばい。
なんじゃこのおもしろビデオは。
それより全然CP24じゃないじゃん。
*どんべえのビデオはこちらから
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by canadianman | 2010-06-27 22:14 | 業務日誌

130 ボス初日

■ ■ ■
旅行から戻って以来、1日も休みなしで12時間労働なのでさすがに疲れがピークだ。
今日は土日にでてくれるお姉さん、ガーヤが出てくれる日なので3時入りだ。
ありがたい。
しかし今日はあいにくの雨。
結構降っている。
そしていざ家を出ようというとき、
みごとに雨が止んでいた。
店へついて10分後、
雨がまた降り始めた。
さすがスーパー晴れ男。

■ ■ ■
ガーヤからその日の仕事の引継ぎをする。
ボスと違って細かく分かりやすい。
おまけにたまっている仕事の消化スケジュールも立ててくれていた。
さすが歴が長いだけある。
頼もしい。

■ ■ ■
店のメールを見ようとネットを開く。
するとヤフーのワールドカップ試合速報にガーナvs.USAと書いてあった。
なんでお客さん少ないか分かった。

■ ■ ■
10分後、
試合速報でガーナの様子をチェックする。
ガーナ人に親しみがあるので気になってしまう。
「1-0」
おっ。
ガーナリード。

■ ■ ■
左手に紙袋に入った酒の瓶、
肩に大きな大きなガーナの国旗をかけた、
テカテカのどんべえが現れた。(129参照)
「ヘーイ!君ここにいる場合じゃないでしょう!まだ試合終わってないじゃん。」
どんべえはガーナ人だ。
「へへへ。まだ終わってはないが、多分勝つ。記念すべき日に写真を撮ろうと思ってなあ。お前に写真を撮ってもらいたいんだよ。」
「OK分かったよ。まかせて。」
グレーの背景カーテンを広げ、
どんべえを真ん中に立たせる。
「じゃあ国旗が見えるように背中をこっちに向けて。そして右手を上にしてこっちの端をつかんで。そして左手でこう。顔をこっちに向けて笑って。」
3ポーズ6枚の写真を撮影した。
「おっお前、今日何時まで店開けてる?試合に戻るわ。またあとで写真選ぶわ。」
と言って急いで店を出て行った。

■ ■ ■
ネットでガーナの状況をチェックする。
「1-1」
おお。
1点入れられてるじゃないか。
どんべえ負けたらどうする気だろう。
頼む勝ってくれ~。

■ ■ ■
プー!
外でクラクションを鳴らしている車がいる。
うるさいなあ。
はっ。
まっまさか。
ヤフーの試合速報をチェックする。
「2-1」
「試合終了。」
おお。
ガーナ勝った。
外に出てみると、
JanexFinchのコーナーに大きなガーナ国旗が掲げられ、
ガーナ国旗をつけた車がクラクションを鳴らしながら走っている。
ガソリンスタンドのよびこのようにガーナ国旗を振り回している男もいる。
とにかくうるさい。
プー!
プップップップー!!!
クラクションだらけだ。
ここカナダじゃなかったっけ?

■ ■ ■
テカテカのどんべえが、
さらにテカテカになり、
すっきりした顔で入って来た。
「ヨー。」
バチン!
と握手を交わす。
「よかったね。君が帰った後追いつかれてたからどうなるかと思ったよ。」
「ヨーメーン!正直あせったぞ~。ありがとう。ありがとう。本当に最高の気分だ。さて、写真の方はどうだ?よく撮れてるか?」
どんべえを隣に座らせ、
パソコンで写真を見せる。
「フー!ファーック!お前ほんといいよ!まじでいいよ。フー!全部もらおう。全部プリントしてくれや。」
「OK。気に入ってもらえてよかった。」
写真をレタッチして、
印刷する。
「お前に撮ってもらった写真を、お前のボスに撮ってもらった写真と比べてみたんだが、お前の方が断然いい。俺はお前のボスをもう20年も知っているが、いつもケンカだ。あいつはいつも金のことばっかりいって、しかも丁寧に撮らない。いいか、ここだけの話、もうちょっとこの店で辛抱するんだ。そして何年かして自分の店をオープンしろ。絶対にもうかる。俺が客をいっぱい連れてきてやるから。俺は人気者だから、いっぱい客を回してやれるぞ。」
俺は人気者て。
「おお、そうだ。明日俺がテレビに映るぞ。CP24が来てたからな。そこの前でガーナの国旗を振り回して大騒ぎしてたら警察が来て、追いかけられたところを撮影されたんだ。はっはっは~。明日映るぞ。」*トロントのニュースチャンネル
「まじで。ははは。それはみたいね。」
ちょうどそこにプリンターから出来上がった写真が出てきた。
ほれとどんべえに渡す。
「ファーック!ファーック!お前すげーよ!クール!お前が好きだ~!」
と言って左手をとられ、
分厚い唇でぶちゅーっとされた。
「また来るわ。お前は本当にいい写真を撮る。ドレスアップする度にここに来るわ。じゃあな。」
と言ってご機嫌で帰っていった。

■ ■ ■
電話がかかってきた。
番号を見ると・・・
ボスだ。
「おお!まだカナダにいたの?何してるの?」
「今空港だ。もう少しで飛行機の時間だ。」
「よい旅を。気をつけて。」
「ありがとう。どうだ?今日は忙しいか?」
電話のボスの声がなんとなく緊張しているように聞こえた。
それにしても最後はバタバタしすぎてあっという間に時間が経ったなあ・・・
次は2ヶ月半後だ。
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by canadianman | 2010-06-26 23:33 | 業務日誌

129 さんちゃんVSどんべえ

■ ■ ■
朝ごはんを食べていないので腹が減った。
Timhortonsでドーナツでも買うか。*カナダのドーナツ屋さん
「5分で戻ります」の張り紙をし、
店に鍵をかける。
プラザの駐車場を歩いていると、
サングラスをかけているアジア系男性の姿に目が止まった。
あれ。
見たことあるなあの人・・・
・・・
・・・
アイスコーヒー大佐!(007参照)
「ハーイ!お元気ですか?」
彼が覚えているかどうかは分からなかったがあいさつを交わした。

■ ■ ■
ベトナム人のおばさんが来た。
「プリントをお願いしたいの。できるかどうか分からないけど、この白いものが見えるように明るくしてもらえるかしら?」
と言って、
仏像の周りに白くて丸い玉が写っている写真を見せてきた。
おお。
またあの白い玉だ。(128参照)
「最近この玉をプリントしに来る人が多くてね~。ミシサガでしょう。」
「あらそうなの?私は肉眼でその玉を見ることができるのだけど、誰も信じてくれなくて・・・後で写真を見たらいっぱい写っていたのでプリントしに来たのよ。」
玉が見えるように明るくすると、
空中白い玉だらけの写真があった。
おお。
すごい。

■ ■ ■
ジャメイカンのさんちゃんが来た。
7ドル分の写真をプリントしてさんちゃんに渡す。
「来た来た。ヘッヘッヘッヘ~。」
一枚一枚にやにやしながら見ている。
本当に写真が好きなのだろう。
今回はその辺に停めてあったバイクにまたがった写真がお気に入りのようだ。
するとそこに、
テカテカのおっさん改め、
ダースベイダー卿改め、
テカテカのどんべえが現れた。(123参照)
「ヨー!お前の写真いいよ~。お前は本当いい写真を撮る。お前の写真好きだぜ~!」
皮製のハンチング帽を被り、
左手に紙袋に入った酒の瓶を握りながら、
テカテカのどんべえがご機嫌であいさつして来た。
「ありがとう。今日も写真撮る?」
と聞くと、
「いやいや今日はいいや。お前を見かけたんであいさつしに来ただけだ。」
と、
鼻息荒いどんべえがつばを飛び散らしながら答えた。
世間話をしていると、
どんべえが隣にいるさんちゃんに気がついたらしく、
急に話への集中力がなくなった。
さんちゃんが気になるらしい。
分かりやすい。
中途半端なところで会話が切れ、
どんべえはさんちゃんの方を見て、
ヒゲだらけの口をにやっとして、
「ハ、ハーイ。」
と声をかけた。
映画に出てきそうなシーンだ。
面白過ぎる。
するとさんちゃんは、
どんべえをちらりとも見ずに
「ハイ。」
とぼそっと言った。
「おっ、おう。とりあえずまた来るわ。じゃあな。」
とさんちゃんにふられたどんべえが帰って行った。
「わたしに声かけようなんて。」
とさんちゃんがぼそっと言っていた。
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by canadianman | 2010-06-25 23:33 | 業務日誌

128 勝ったで~

■ ■ ■
黒人のおばさんが来た。
赤くてネジネジのドレッドで、
よく見るガーナ人やナイジェリア人とは少し雰囲気の違う感じだ。
よし、出身を聞いてみよう。
「君、どこの出身?」
「サメルーン。」
おお。
やはり新しい国だ。
「へぇ。サメルーンの人に会ったのは初めてだなあ。ちなみに西アフリカ?それとも東アフリカ?」
「西アフリカよ。ナイジェリアの隣にあるわ。」
あとでグーグルマップで調べると、
どうやらカメルーンだった。
よかった。
日本人って言わなくて・・・

■ ■ ■
「ハーイ、タックス。」
めが姉がまた来た。

■ ■ ■
日本対デンマーク戦はこっちの時間で14:30キックオフだ。
気が気でならない。

■ ■ ■
ベトナム人男性が来た。
この間仏像に写る白い玉をプリントしに来た男性だ。(126参照)
「あの写真がうそか本当か議論になっててね。またプリントしにきたんだ。君、これは本当の写真ですって証言してもらえる?」
「まあ、これは合成ではないとはっきりと言えるけど、霧雨とか、ほこりとかがフラッシュの光で白く写ることはよくあるからねぇ。こういう写真を故意に撮ろうと思えば撮れないことはないよ。トラブルになったら嫌だし、ちょっとできないなあ。」
「そうか・・・」
彼のメモリーカードの写真を見ていると、
ベトナム人歌手のお姉さんが歌っている写真が写っていた。(123参照)
おお。

■ ■ ■
マシュマロマンが来た。(116参照)
今日はつれと一緒だ。
「日本はこの前勝ってたなぁ。」
「そうそう。そして今日2時半からデンマーク戦だよ。一番大事な戦いなんだ。」
ナイジェリアは残念だったねと言いいかけたが、
やめておいた。
マシュマロマンがプリント注文機の前で写真を選びながら、
自分たちの言葉でつれと会話している。
基本的にアフリカ人は、
会話をするとき手の動きが大きく、
見ていておもしろい。
何を言っているのかさっぱり分からないが、
途切れ途切れに聞きとれる単語から、
ナイジェリアのワールドカップについて話しているようだ。
二人とも機嫌が悪い。
ああ言わなくてよかった。

■ ■ ■
試合が始まった。
Yahooの試合速報をたまに見る程度でとても試合観戦とは言えたものではないが、
ないよりはましだ。

■ ■ ■
「TAQ!来て来て。」
パソコンの前に座っている見習いのシャンティに呼ばれた。(122参照)
「何?」
とパソコンのところへ行くと、
「0-1」
の文字がディスプレイに写っていた。
日の丸は・・・
右側!
まぁじで~!
ヨッシャァ!
パスポート写真を待っているアジア系の男性の肩をベシベシ叩き、
「日本リードしてるよ~!」
と無理やり喜びを分かち合わせた。
彼もいい人で、
「おおすごいね~。俺も嬉しいよ。」
と言ってくれた。
海外にいると日本の活躍が何倍も嬉しく思える。

■ ■ ■
試合が終わった。
「1-3」
店の軒先に日の丸をかかげようかと一瞬思ったが、
ボスに怒られそうなのでやめておいた。
嬉しすぎる。

■ ■ ■
「ハロー。」
エイドリアンの嫁が来た。(070参照)
「ああ!ハーイ!ずっと待ってたよ。あれから3ヶ月くらい経ったんじゃない?」
「ニューヨークに旅行に行ってたのよ。ふふふ。」
前回チキンをしゃぶりながら来店した際に置いていった、
子供の卒業写真の拡大コピーの受け取りだ。*卒業写真の拡大コピーについて(059参照)
封筒から写真を取り出して嫁とつれに見せる。
「エークセレント!これフレームに入れたらいくら?」
「いくらです。」
「ふん!高いわ!まけなさいよ!」
そうくると思った。
「まあ普段はこの値段なんだけど、うちのお得意さんだからね~。じゃあ5ドルまけるよ。これでどう?」
「OK。」
その場でささっとフレーミングして嫁に渡した。
「ビューティフル!はい。これお金。」
店を出るとき、
エイドリアンの嫁が彼女のつれにフレームを渡すところを見逃さなかった。
エイドリアンは金持ちなのでいつでも写真を撮りにこれる。
彼女はせこくて業者が撮ったサンプル写真のコピーを頼みに来たんじゃない。
彼女のつれの写真なのだ。
彼女はうちのお得意さんなので安くなるから、
つれのためについてきたのだ。
最初から最後まで、
お金を払うところまで嫁の息子の写真だと貫く姿勢に感動した。
マシュマロマンも一度それをしたことがある。
ナイジェリア人の習慣だろうか、
素敵だ。

■ ■ ■
昨日、娘のUSパスポート写真を撮っていった黒人のおばさんが来た。
「ハーイ。あなた昨日娘の写真を撮ったこと覚えてる?あの写真だめだったわよ。つき返されたわ。」
「ええ?なんで?全然問題ないはずだけど。なんで?」
極まれにテカり具合など、
際どい写真を撮ることもあるが、
彼女の写真はパーフェクトだったはずだ。
「ははは。うそよ~。今日はフォトコピーしにきたの。」*コピーのこと
「うわ~まじでびびった。やめてくれよ~。フォトコピーはMac'sでできるよ。」
おもしろいおばちゃんだ。

■ ■ ■
日の丸のついたカバンを背負って、
店から家まで歩いて帰った。
ずっとニヤニヤしていた。
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by canadianman | 2010-06-24 22:11 | 業務日誌

127 笑顔は大事

■ ■ ■
最近朝ごはんを食べずに出勤することが多いので、
午前中は中国人経営のベーカリーで飢えをしのぐことが多い。
日本のパンと比べ物にならないほど質は低いのだが、
安いので朝食にはもってこいだ。
お気に入りは春巻き。
ごまだんごの中身を肉にしてごまを外した揚げ餃子餅もなかなか好きだ。
日本と同じくおぼんに好きなパンを直接のせて、
レジに持っていけばいい。
お金を払っていると、
バブルティー(タピオカティー、中国語でちんつーないちゃ)のポスターに目がとまった。
あ。
いいねえ。
この店のパン5つ分の値段でバブルティーを購入し、
うきうきして店に戻った。
専用の太いストローでバブルティーを飲む。
硬!
古いタピオカなのか、
中身が硬くて超まずかった。
残念。

■ ■ ■
めが姉が来た。(121参照)
「ハーイ。あなたのボスはどこ?」
「ハーイ。ごめんいないよ。彼今忙しくてねえ。」
「え~。また?ひょっとして彼わたしのこと避けてない?しょうがないわ。じゃあ今日はあなたに仕事をあげるわ。タックス。」
おお!
名前を覚えてくれていた。
タックス。

■ ■ ■
めが姉により店の機能を麻痺させられていると、
アジア人男性が来た。
めが姉の対応に追われ、
なかなか声をかけられない。
「ハーイ。ごめんね。パスポート?」
5分くらい経ってやっと声をかけることができた。
「タッTAQさんですよね?」
「・・・」
「はい?今なんと?日本人ですか?」
毎回そうだが不意打ちは心臓に悪い。
店内で日本語で会話していると、
他のお客さんがおとなしくなるのはなぜだろう。
ちょっと優越感だ。

■ ■ ■
黒人のおばさんがせがれを連れてきた。
顔に見覚えがあるから前にスタジオ写真を撮ったことがあるのだろう。
今日の注文は息子の卒業写真だった。
持参したローブと帽子を身にまとい、
本棚の背景で写真を撮る。
元々背が高くて男前なのでバッチリの写真が撮れた。
パソコンの前に座り、
おばさんとせがれに撮影した写真を見せる。
「あんたは本当にいい仕事するわねぇ。ボスよりいいわよ。あなた自分の店を持ちなさいよ。お客さんいっぱいくるわよ。なんてったってあんたは笑顔がいい。いつも笑顔だから気持ちがいいわ。」
おお。
嬉しいお言葉。

■ ■ ■
典型的なソマリア顔をした男性が来た。
「パスポート写真を撮ってもらえるかな。」
とてもおだやかな話し方で、
ちょっと話しただけでいい人だと分かった。
「ごめん今忙しくてもうちょっと待ってもらうようになるけどいい?」
「ああ。全然大丈夫だよ。ノープロブレム。」
他の人の写真が終わり、
やっと彼の番になった。
店内は彼と2人だけになり、
写真ができるまでの間、話し好きな彼と世間話をした。
「で、俺はいっさいジャンクフードを食べないよ。前は顔にぶつぶつとかいっぱいあって肌がきたなかったんだけど、今は健康的な食生活を心がけているからこの通り健康そのものさ。食べ物が人に及ぼす影響はとても大きいからね。精神的にも影響してくるし。」
「ああ。分かる分かる。確かにあなたはとても幸せそうだもの。」
「本当かい?どうもありがとう。」
最近ジャンクフードを食べ始めた自分に警告のようなタイミングだった・・・

■ ■ ■
ベトナム人のお姉さんが来た。
写真のプリントだ。
「私初めてだから操作方法が分からないの。教えてもらえる?」
「もちろん。」
と言ってプリント注文機の前にいる彼女の隣へ行き、
操作方法を教える。
「こうやって欲しい写真の横のこの「+」ボタンを押して。そうしたらこの写・・・。はあ?この写真どうしたの?ミシサガでしょ!?」
前にベトナム人歌手のお姉さんがプリントしていった、(123参照)
ミシサガの仏像が写っている。
もしかして今回も白い丸い玉か?
「あなたこれを知っているの?」
「前にお客さんがプリントしていってねぇ。」
「ああ。それは私の姉よ。」
なるほどそういうことか。
それにしても何なのだろうか、
この白い玉は。
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by canadianman | 2010-06-23 22:51 | 業務日誌

126 ありがとう

■ ■ ■
タミル人の夫婦とチビッコが来た。
「e-mailからフォト、OK?自分の国から。スリランカから。」
ちょっとハゲ気味でちょびひげの優しそうなお父さんが尋ねてきた。
「OKだよ。」
「e-mailアドレスプリーズ。」
と言われたので、
店のe-mailアドレスを紙に書いて渡した。
お母さんが長距離用テレホンカードを取り出し、
スクラッチする。
携帯電話を取り出し、
難しげな顔をしながら電話をかけている。
おお。
今からスリランカに電話してメールしてもらう気だ。
電話がつながったようで、
タミル語で会話をしている。
e-mailアドレスを電話で伝えるのはかなり困難だが大丈夫だろうか。
「ディー・ディー・エール・・・」
おお。
アドレスを読み始めた。
うちのメールアドレスはDPLイメージ@gmail.comだ。
「いっれい。いっれい。(タミル語で違う違う。)ディー・ディー・いっれ。いっれ。またどぅ。またどぅ。ディー・ディー・またどぅ。またどぅ。またどぅ!!!ディー・・・」
やばい。
おもしろすぎる。
またどぅの意味が気になる。
やや「たん」が絡み気味で、
やたらとでかいお母さんの声が店内にひびく。
「ディー・ディー(DP)。またどぅ。エールアーイ(LI)、エーメー(MA)、ジーイー(GE)、ドットコム(@)、ジーメール(GMAIL)ドットコム(.COM)」
ええええ!
@をドットコムってなんやねん。
しかもDとPの発音が同じ時点で確実にメールは届きそうにない。
まだ続いている。
「いっれい、いっれい。ディー。ディー。またどぅ。またどぅ。エールアーイ、エーメー、ジーイー、ドットコム、ジーメール、ドットコム。」
やばい。
助けてくれ~。
たまらず、
「ドットコムいっれい。(ドットコムじゃないよ。)アット。」*英語ではアットマークではなくただのアットと読む。
と教えてあげた。
「ディーディー、またどぅ。またどぅ。またどぅ!!!エールアーイ、エーメー、ジーイー、ドットコム、ジーメール、ドットコ・・・アット。」
ええええ!
最後のドットコムがアットになった。
「ノーノーノー。ノードットコム。アット。アット。」
紙に書いた@を指差して教えてあげる。
「ディーディー、またどぅ。エールアーイ、エーメー、ジーイー、ドットコム、ジーメール、ドッ・・・アット。アット。」
お~い!
2回言ってどないすんねん。
もうだめや~。
たまらず電話を代わって向こうのメールアドレスを聞き出し、
こちらからメールを送って無事メールをゲットできた。
ああ面白かった。

■ ■ ■
ベトナム人男性が来た。
「この写真をコピーできるかい?」
と言って1枚の写真を出してきた。
仏像の写真だ。
「うんできるよ。何枚?」
「5枚。」
OKと写真を受け取る。
何の写真だろうとよく見ると信じられない光景が写っていた。
こないだのベトナム人歌手のお姉さんと同じ仏像を写した写真で、(123参照)
白い月のような玉がいっぱい空に写っている。
全く同じ仏像だ。
「おおおお!!!!これってもしかしてミシサガで撮った写真?」
「おう、知っているのかい?」
「前にお客さんが同じ仏像の写真を持ってきて、この白い玉がいっぱい写っていたよ!すごい!」
「彼女はすごいね。普通の人は撮ることができないんだよ。彼女も私と同じで運がいいんだ。君もその写真を2つも見ることができたのなら本当にラッキーだよ。」
前の歌手のお姉さんのときは半信半疑だったが、
ここまではっきりとたくさん写っている、
同じ仏像、
屋外、
時間帯は全然違う。
これは信じるしかない。
「俺もそこに行って写真を撮ってみるよ。どこにあるか教えて。」
「いやもうないんだ。ある期間しか展示されていなかったんだ。」
おお残念。
自分の手で何故なのか科学的に確かめてみたかった・・・

■ ■ ■
たまっている仕事を片付けていると、
いつの間にか10時になっていた。
珍しくボスも残業だ。
「TAQ!今日は送ってやるから車に乗れ。」
店を閉め一緒にボスの車に乗る。
おお懐かしい。
彼に送ってもらうなんて何ヶ月ぶりだろうか。
「お前腹減ってるだろう。何がいい?チャイニーズか?」
おお。
おごってもらえるんですか。
「うん。チャイニーズいいよ!」
「OK。分かった。」
Janeストリートを南に向かう。
いつもと違う方向だ。
2つ目の信号を通り過ぎたところで、
「ほれ。」
と言ってボスがペンを渡してきた。
「ペンだ。」
おお、ペンかいな。
と思いながら受け取る。
カバンに入れようとすると、
「よく見てみろ。」
と言われた。
街灯の明かりでペンをよく見ると、
黒いボディに金のラインの入った上品なペンの側面に、
「DPL image」
とロゴが入っていた。
うちの店の名前だ!
「ハッピーバースデー。」
よく考えたら彼に会えるのもあと10日くらいしかない。
やばい。
重すぎる。
泣きそうだ。

■ ■ ■
彼がランチにこっそり行くという、
Jane x Sheperdにある小さなチャイニーズレストランに着いた。
はっきり言ってここのほうがJane x Finchよりも数倍怖い。
「ちゃんと車にカギかけてよ。」
店へ入ると北米の典型的なチャイニーズフードの店構えだった。
珍しく店員の愛想はいい。
ボスはホットチキン、
自分は広東風焼きソバにした。
彼と出会って8ヶ月、
面と向かって話すなんて初めてだ。
日本に戻ったらどうするか、
旅行はどうか、
お互い照れくさそうに20分ほど会話をした。
食事を終え、
家までの道中、
ボスがこんなことを言った。
「常に正しい行いを続けるんだ。そうすればお前の周りにはいつもいい人が集まってくる。何も心配することはない。」
「ガーヤ(土日にでてくれる女性)が妊娠して、店を手伝えなくなったとき、これからどうしようかと本気で悩んでいた。そうしたらちょうどお前が仕事ないかって尋ねてきた。そして今度はお前が9月に帰るだろう、そこにシャンティ(見習い)が来た。俺は正しい行いをしていれば、神様が、まあ神様か仏陀かイエスかしらないけど、そういう存在が見てくれていて助けてくれると信じているんだ。」
すごい。
めちゃくちゃ素敵な言葉だ。
そう思ってくれていたことにも感動した。
「うん。俺もそう思う。本当にありがとう。」
「じゃあ明日な。」
「Ok。運転気をつけて。」
嬉しい気持ちと寂しい気持ちの半々で家のドアを開けた。
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by canadianman | 2010-06-22 23:13 | 業務日誌

125 回転おばさん

■ ■ ■
イタリア人のおばあさんが来た。
若い女性と男性が描いてある油絵を取り出して、
「この絵にある私だけをうまく切り取ってコピーして欲しいの。私の若い頃よ。ふふふ。この男のことは忘れて。消し去ってちょうだい。悪い男なの。私の言ってること分かる?小さいサイズにプリントしてちょうだい。分かった?」
かなり大きい絵なので、
A4のスキャナーでは数回にわけてパソコンに取り込んで、
それから合成して1枚の絵にして、
さらに悪い男を消すという作業をしなければならない。
「あ~。できることはできるけど、かなり手間がかかるからこの値段になるよ。大丈夫?」
「高いわ~。高すぎるわ~。半額にして。半額。」
「いやいや。それはできないよ。じゃなかったら手間がかかりすぎてこの仕事請ける意味がないもの。」
「分かったわ。美しくしてちょうだいよ。もしあなたの仕事が気に入らなかったら、この先20年、いや200年は来てやらないから。分かったわね。あなたの名前は?」
「TAQです。」
「え?ダック?」
補聴器をつけている方の耳を突き出してきた。
「いやTAQです。T・A・Q!」
「ああ。TAQ。わたしはダックかと思ったわ。グゥエ!グゥエ!(アヒルのものまねをする。)あ~はっはっはっは!ごめんね。でも泣くより笑う方が素晴らしいでしょ!」
と言って帰って行った。
まあ色んな国の人がいるし、
その中でも色んな人がいるが、
イタリア人は本当に素敵だ。
いつも幸せそう。

■ ■ ■
黒人のおばさんが来た。
「パスポート写真。ハウマッチ!」
このうねるようななまりはトリニダード人に違いない。
「こうこうこうでいくらです。」
と説明すると、
ものすごい不細工なしかめっ面をし、
「高いわ~!」
と文句を言ってきた。
はははとごまかして証明写真用の椅子に座ってもらう。
「ハイ。アゴを下げて~。」
パシャ
彼女の着ている服の色が薄かったので、
白の背景に溶け込んでしまった。
撮りなおしだ。
「ごめん。あなたの服は色が明るすぎてよくないから、このジャケットを羽織ってもらえるかな?」
と言って灰色のじじくさいジャケットを渡した。
「いいわよ。」
と言っておばさんが立ち上がった。
そして右腕を通したかと思うと、
くるくるくると回り始めた。
おおお~。
2回転半してジャケットを着終え、
再び椅子に座る。
ふきそうだ。
「じゃあ撮るね~。」
パシャ
今度はOKだ。
「5分でできるからちょっと待ってね。」
と言ってプリントを開始する。
写真を校正しながら彼女の方をちらっと見ると、
勝手にパソコンの前にある椅子を動かし、
店のど真ん中に座ってボーっとしていた。
おもしろすぎる。
「いくら?」
と言ってお金を払うそぶりをしたので、
店のど真ん中へ行ってお金を受け取り、
おつりをまた店のど真ん中へ持って行く。
今度は写真ができあがったので、
カットして袋に入れて店のど真ん中へ持っていく。
回転おばさんは袋に入った写真をじーっと見て、
「グーッド!アイラブイット!」
と言って写真にキスをした。
そして立ち上がると、
1回転半した。
もうやめてくれ~。
回転おばさんは立ったまま写真を凝視しながら、
十字架をきるような仕草をしていた。
宗教的な何かなのだろうか。
それとも回りたい気分だったのだろうか。
尋ねるタイミングをつかめぬまま、回転おばさんは店を去っていった。
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by canadianman | 2010-06-21 22:37 | 業務日誌