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カナダ一治安の悪い交差点にあるフォトスタジオで働く日本人の業務日誌


by canadianman
■ ■ ■
トロント最後の日。
今日の任務はダウンタウンでお金の両替、友達とのランチ、そして拡大プリントをゲット。
やることがいっぱいある。

■ ■ ■
家を出る前にボスに電話した。
今までのパターンからいって、
紙のことを忘れている可能性大だ。
プルルル・・・
「おおTAQか!あ、えっと紙はもう注文してしばらくして取りに行く予定だ。夕方来い。7時ごろだ。ガチャ、ツーツー。」
この慌てようは怪しい・・・
電話してよかったと心から思った。

■ ■ ■
ダウンタウンでの用事を済ませ、
友達とランチだ。
もう帰っちゃうんだね~と惜しまれながら、
フォーを食べる。
このお店のフォーは「フォーコムベトナム」また違った味でおいしい。
「・・・で、うちのボスが紙の注文してなくてさあ、今日は7時にまた店に行くことになっちゃったんだよ~。」
と、用紙切れ事件について話をしているところに、
電話がなった。(194参照)
ボスからだ。
何だろう・・・
「もしもし?」
「ヘイTAQ!お前今どこにいる?!」
「今ダウンタウンだけど、何?」
「今から来い!」
「はあ?何で?」
「シャンタンが今日来ないから紙をピックアップに行けない。お前が来てくれ。」
「はあ?だから大丈夫かって聞いたじゃん!なんで早く言わないんだよ~!」
「いや。その・・・で、いつ来れるんだ!」
なんやねんそれ!
最後の最後になんやねん!
頭の中でいろいろ考えたが、
結局行くしかないという結論になった。
「今ダウンタウンだから1時間半くらい。」
「そうか。急いで来いよ。ガチャ、ツーツー・・・」
「・・・」

■ ■ ■
「ごめんね。ほんとうにごめん!」
何度も繰り返して、
友人との予定をキャンセルした。
本当に申し訳ない・・・

■ ■ ■
地下鉄、バスを使い、
1時間半かけてJane x Finchへやってきた。
バタバタしすぎでヘトヘトだ。
ご機嫌ななめ状態で店へ入る。
「カモーン!頼むよ~!」
facebookをしていたボスが、
「おお悪いなTAQ。じゃあ今から紙を取ってくるから店番頼む。」
と言って慌てて店を出て行った。*英語圏で最も一般的なSNS
・・・
・・・

■ ■ ■
トロント最後の日に仕事をするはめになった。

■ ■ ■
まずはプリント注文でも終わらせておくか。
300枚もの大きなオーダーからやっつける。
プリンタの前に座り、
オーダーを開く。
写真の色の校正だ。
大きくてカラフルな帽子を被った女性たち、
紫や緑など色とりどりで光沢のある美しいドレスたち。
ナイジェリア人の結婚式の様子だった。
それにしても、この写真の撮り方、
マシュマロマンっぽい・・・(186参照)
オーダー用紙の名前欄を恐る恐る確認する。
「Z」
間違いない!
マシュマロマンや!
帰るまでに写真を取りに来てくれ~。

■ ■ ■
2時間のただ働き後にボスが戻ってきた。
大きな紙のダンボールをドサっと置いて、
「ほら紙だ。」
と、仕事をしてやったり的な満足顔を見せてきた。
憎たらしい。

■ ■ ■
紙を拡大プリンタにセットしていると、
ボスが
「お前腹減ってるか?」
と聞いてきた。
「ああ。ちょっと。」
「そうか。じゃあこないだいったチャイニーズの店へ行って来るわ。何がいい?」
「ビーフフライドライス。」
「了解。」
・・・
あれ?
ということはまだ働くの?

■ ■ ■
車で5分の場所にあるチャイニーズフードに行ったボスが、
1時間後に帰って来た。
「ほら、フライドライスだ。食べろ。」
「あ、ありがとう。」
トロント最後の食事はフライドライスか。

■ ■ ■
マシュマロマンが来た。
「あー!ハーイ!マイフレンド!」
食べかけのフライドライスを置いて、
マシュマロマンに駆け寄る。
「おお!どこに行ってた!お前のボスにもう日本へ旅立ったなんてウソつかれてたよ。」
とボスの方を見る。
「いや本当だよ。明日のフライトで日本へ帰るんだ。」
「ええ?本当に?オーマイガー!それは寂しいな・・・じゃあ連絡先教えてくれ。兄弟が日本にいるから日本へ旅行に行ったときに会おう。」
最後の最後でマシュマロマンに会えてよかった。

■ ■ ■
「送ってやるからもう少し待ってくれ。」
結局昼過ぎから閉店まで店へいることになってしまった。
トロントでの思い出のほとんどはこの場所があってこそ、
最後の最後までどっぷりだったな・・・

■ ■ ■
閉店時間になり、
店を閉める。
2人でボスの車に乗り込んだ。
「ああ。これで本当に最後だなあ。今でも初めてお前をこうやって家まで送った日のことを覚えているよ。」
「まじで?俺は忘れたなあ。ははは。」
お互い言葉が続かない。
家の前の通りにさしかかったとき、
ボスが口を開いた。
「いいか、前にも言ったけど、正しい行いをしていれば必ず道は開ける。将来のことを不安に思わず、今を正しく生きるんだ。何も心配することはない。1年間俺の店に来てくれてありがとう。お前のおかげで店は良くなったよ。」
「ありがとう。こんな俺を助けてくれてありがとう。」
握手をし、
ハグを交わした。
街灯の明かりでうっすら見えるボスの目が少し濡れているのをみて、
涙が出そうになったがグッとこらえた。
車を降り、
ドアを閉める。
「じゃあね!」
ボスの車が見えなくなるまで手を振り続けた。
ありがとう。
ほんとうにありがとう。
こうしてトロント最後の1日が幕を閉じた。
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# by canadianman | 2010-09-27 21:28 | 業務日誌